在日コリアン、おきらいですか?

「在日コリアン、おきらいですか?」というはてなダイアリーを書いていましたが、この度ブログに移行しました。

兄 かぞくのくに

北朝鮮に渡って行った兄と「かぞく」の物語


人生に「もしも」はない。私たちの家族のひとりが「もしも・・・」と口にした時点で、きっと私たちの間で何かが壊れる。それが「何か」はわからないけれど、私たちの誰もが、この言葉を口にしたことがない。でも私は思ってしまう。もしも兄が帰国していなかったら?(本文より)。70年代に「帰国事業」で日本から北朝鮮に渡って行った3人の兄、旗振り役の総連幹部として息子を送り出す父と母。そして日本に残った私。国家や思想によって引き裂かれていく「かぞく」の姿を通して、「家族」とは何か、「国」とは何かを問いかける作品です。映画「かぞくのくに」(第62回ベルリン国際映画祭アートシアター連盟賞受賞)の原作本として監督ヤン・ヨンヒ氏が自らの体験をもとに書き上げた真実の物語。


先日、映画「かぞくのくに」を観て、久しぶりに朝鮮部落で過ごした日々を思い出しました。(感想はこちら
その原作となっているこの本では、映画よりも一層「当時の在日コリアンでしかも総連での活動に取り組んできた家庭の人達」の姿が浮き彫りにされています。




もう何度か話していますが、ボクはいわゆる「朝鮮部落」のど真ん中で育ちました。近所には「朝鮮学校」があり、その近くには「朝鮮総連」の事務所や「朝銀」。
鶴橋や新大久保といったようなニューカマー中心の華々しいコリアンタウンとは趣が違う、地味〜なコリアンタウンで幼少期を過ごしています。


なので、かつて「帰国事業」というものがあり、「北朝鮮」に「帰国」した在日コリアンがいた、という事は知っていましたが、あまり身近な出来事としては感じていませんでした。
その頃は帰国事業はもう終了していたか、ほとんど帰国者がいなかったかのどちらかだったはずで、「北朝鮮に帰る」なんちゅう発想は、どこをどうひっくり返しても出てくるような時代ではもはやありませんでした。


たしか「帰国船:万景峰号」の見学にも行ったような記憶がありますが、ほとんど印象には残っていないですね。
あ、でもその時貰った「北朝鮮のチョコレート」の事は鮮明に憶えています。
いやあ、あれは凄かったですよ。
何が凄いかって、チョコレートであるにもかかわらず「まったく甘くなかった」んです。あれは衝撃でした。
カカオそのものの素朴な味?とでもいうのでしょうか、香りの良い物体ではありましたが、本当に甘くなくて不思議な味でした。
まあ、結局は全部食べてしまったんですけどね。



というわけで、「帰国した在日コリアン」がどういう風に生きているのか、また残された家族はどう過ごしてきたのか、なんてまったく想像だにせずに生きてきましたが、この本を読んでその内実の一端を垣間見ることができたように思いました。
映画「かぞくのくに」を観た方、北朝鮮や「帰国事業」に興味がある方には一読の価値があると思います。