在日コリアン、おきらいですか?

「在日コリアン、おきらいですか?」というはてなダイアリーを書いていましたが、この度ブログに移行しました。

朝鮮学校の思ひ出・陸

☆「金日成元帥の幼き日々」「革命歴史」
皆様お待ちかね、「金日成元帥の幼き日々」「革命歴史」についてです。
この科目はそれぞれ週に一時間程度で、日本学校で言うところの「道徳」に相当するのかなと思っています。
まあ、内容的には「道徳」とかなりかけ離れているとは思いますが・・・
で、その内容なんですけど、「金日成元帥の幼き日々」は読んで字のごとく、金日成が生まれてから成長するまでのお話が延々と書いてあるのです。一冊全部に。
1912年4月15日、万景台(マンギョンデ)で生まれる所から、長じて「反日武装闘争」のために故郷を離れるまでのエピソード集と思っていただければ間違いないと思います。


ホントに何の脈絡もなくエピソードが年次を追って紹介されているだけなので、そのほとんどはすでに忘却の彼方。
記憶に残っているものと言えば・・・

子供たちが泥遊びをしていた時の事。
泥団子を作って並べていたある子供が、団子を二つ並べて「ほら見て。1+1=2はやっぱり正しいよね?」ってな事を言うわけです。
すると、幼い頃の金日成がおもむろに二つの泥団子を両手に取り、ぐちゃっとくっつけてこう言うのです。
「見なさい。二つの泥団子が合わさると大きな泥団子になる。このように我々人民も一つに団結し、日帝の支配に対抗しなければならないのだ!」
んで、周りの子供達が「やっぱりこの人はすごいぜ!」と感心しまくり、尊敬しまくる。

くらいですかねぇ。(注:ひょっとしたら金正日のエピソードだったかも知れませんが・・・まあ、どっちにしても同じような逸話ばかりなので大差はないでしょう)
正直言って、子供心にも「なんじゃそれ?」と思いましたが、そういうツッコミは御法度。とりあえず神妙な顔つきでスルーするのが正しい作法でした。


「革命歴史」はこれの大人バージョンで、で、「反日武装闘争」およびその後の「祖国建設期」におけるエピソード集となっております。
金日成は神がかり的な天才軍略家で、向かうところ敵なし。並み居る敵をバッタバッタと打ち倒し・・・今日は東、明日は西。神出鬼没で日帝からは「白頭山の虎」と恐れられたのだそうです。
物理的に不可能であろう両面作戦の指示を同時に行っていたりとなかなかのファンタジーぶりで、祖国を無事解放し、社会主義国家「北朝鮮」を建設していきます。


建設期になるとお約束のエピソードが繰り返し出てきます。
たとえば、ある工場-製鉄所だとしましょうか-に金日成が視察に行きます。
金日成は神がかり的な天才実業家で、一通り視察を終えるとその工場の欠点をたちどころに見抜き、的確な改善方法を工場長へ伝えます。
その後、工員達のところへ赴き熱い演説を一発。
湧き上がる歓声。感動の涙、ああ涙。
そして、その月の鉄生産量は一気に倍くらいに伸び、「嗚呼、我らが元帥様は素晴らしい」てな具合にオチが付きます。
これがある時は農場、ある時は製紙工場、ある時は炭鉱といくつかバリエーションがあるのですが、大体内容は同じでした。


上記2科目は全編こんな感じの美談?が延々続くのみの科目でして、いざ試験ともなりますと、こういったエピソードをいかにそのまま書くかだけが勝負。短期記憶の限界に挑戦!です。
試験が始まると猛烈な勢いで「何年何月何日に○○工場を視察された元帥様は以下のように仰られた。『鉄の生産は祖国の重要な〜〜〜〜〜・・・・・』」とぐわっと書いて、書いた瞬間すべて忘れるという、ちょっと独特な頭の使い方をする科目でした。


試験の話が出たついでですが、朝鮮学校では試験の評点は10点満点でした。なので、国語・数学・理科・社会・英語・革命歴史がそれぞれ9.5点、8.0点、9.8点、9.7点、10点、7.5点といった感じで、まるで体操の採点みたいな数字が並びます。
おかげで今でも「100点満点」より「10点満点」の方がなんとなくしっくりきますね。
それから学期末の通知表でも評価は10点満点評価でした。
1学期:国語 9、数学 9・・・てな感じ。
そして総合評価として『称号』が与えられます。具体的な基準は忘れましたが、『最優等生』『優等生』『普通』『落第』の4つです。

なので、通知表をもらった後は、

ああ!1学期は『最優等生』だったのに、2学期で『優等生』になっちゃったよ。アボジに怒られちゃうかも(>_<)

みたいな事を学生さんたちは口にするわけですね。
日本学校のことはよくわかりませんが、このあたりは同じような雰囲気なのではないでしょうか。