借りぐらしのアリエッティ
とある郊外に荒れた庭のある広大な古い屋敷があった。
その床下で、もうすぐ14歳になる小人の少女・アリエッティは、
父ポッドと母ホミリーと3人でひっそりと静かに暮らしていた。アリエッティの一家は、屋敷の床上に住むふたりの老婦人、
女主人の貞子とお手伝いのハルに気づかれないように、
少しずつ、石けんやクッキーやお砂糖、電気やガスなど、
自分たちの暮らしに必要なモノを、必要な分だけ借りて来て暮らしていた。
ツイッターでたまたま「もしかして在日と日本人の事を暗喩してるのかなと、ちょっと穿った見方かなと思ったら案外そう感じている人が多いのですね。」なんていう呟きを見つけたためちょっと借りてみました。
原作が「イギリス児童文学」とのことですので、ボクたち在日コリアンがモチーフってわけでは当然ないのでしょうが、映画と言うものは素直に観ても楽しいですし、いろいろ邪推して観るのも楽しいものです。
軽くネタバレになりますので、今後観賞する予定の方はこれ以上読まない方が良いかも知れません。
屋敷の所有者たる「人間」側には、
- 「小人」と接点があり好意を持っているもの
- 「小人」と接点はないが好意的なもの
- 問答無用で「小人」を敵視し排除しようとするもの
がいて、
屋敷の床下に住んで借り暮らししている「小人」側には、
- 「人間」をひたすら恐れているもの
- 「人間」と適度な距離を保とうとしているもの
- 「人間」と接点を持ち好意をもっているもの
がいます。
ところで、「借り暮らし」って言っても実際のところはただの「無断借用」、いや映画内では返却している様子は全くありませんでしたので、言ってしまえば「泥棒」です。(物量として些少ではありますが)
とまあ、こうしてツラツラ設定だけを並べてみますと・・・
なるほど。
確かにどっかで聞いたことあるような設定ではありますね。
ミクロな視点で見ると、二つの種族間に心温まる交流があり良好な関係が構築されてはいきますが、結局のところ両種族は共栄も共存もできず、「小人」側が一方的に駆逐され放擲されていくというラストとなっています。
いろんな捉え方があるとは思いますが、あまり救いのあるラストではありませんでした。
たぶんあの「小人」達は近い将来絶滅してしまうのでしょう。唯一希望があるとすれば、主人公と少年の築いた関係なのでしょうがあまりにも弱く儚いつながりでしかないもんなぁ・・・
と言うわけで、いろいろ邪推しつつも楽しめた映画でした。
やっぱりジブリのアニメはクオリティが高いと思います。内容的には賛否はありそうですが、キャラクターの動き、「小人」視点の世界の広さなどなど、リアリティのある虚構を見せるのが上手いですよね。
炬燵にでも入ってのんびり観るには適した映画だと思います。みなさんもぜひ。