在日コリアン、おきらいですか?

「在日コリアン、おきらいですか?」というはてなダイアリーを書いていましたが、この度ブログに移行しました。

朝鮮学校の思ひ出・玖

進学校に入って難関大学を目指す。そして、良い会社に入るのが素晴らしい人生なのよ!

一昔、いや二昔くらい前まではわりとこのような考え方が主流であったように思いますが、現在ではこんな主張を声高にする人はほとんど見かけなくなりました。
それでもなお、高い学歴が良い生活を保証してくれるとの考えが根強いのか、日本の高校進学率は90%を超え、大学進学率も50%を超えています。(2009年、学校基本調査より)
日本社会における高校・大学への受験・進学はもはや「普通」のことになっていると言っても過言ではないでしょう。



一方、ボクが在籍していた頃の朝鮮学校には「受験」という概念がほとんどありませんでした。
初級部から中級部へはフリーパス(ていうか同じ敷地内にあって校舎が変わるだけって場合もあったり)、中級部から高級部へもフリーパス(ていうか同じ敷地内にあって校舎が変わるだけって場合もあったり)。
高校進学時は、一応入学試験のようなものがありましたが、「名前を書けば犬でも受かる」と生徒達が思っていたくらいでしたので、ほぼフリーパスと考えても良いと思います。
唯一受験と言えるのは、以前述べた朝鮮大学校への進学時でしょうが、朝鮮大学の入試に落ちたという例をボクは聞いたことがありません。もちろん、それなりに合格基準などはあるのでしょうが、日本の難関大学とは比べ物にならない難易度であったと予想されます。


なので、朝鮮学校の生徒は「受験戦争」とは無縁の伸び伸びとした学生生活をエンジョイしており、ピアノや水泳などの習い事をする人はいても、進学のために塾に通っていた生徒は一人もいませんでした。
じゃあ勉強全然してなかったの?と思われる方もいるかと思いますが、実は意外と真面目に勉強はしておりました。
何しろ教室内にいる人数がとても少なかったので、授業中は全員が教員のすぐそこにいるような感じなのです。私語はおろかちょっと余所見をするだけですぐに先生から注意されるくらいの至近距離授業でしたので、当然それなりに集中せざるを得ません。
月末試験や学期末試験などの定期試験も多く、成績上位者(って言っても分母はとってもすくないのですが)は廊下に張り出されていましたので、幼いなりに競争心を発揮しみな勉学に勤しんでおりました。
「勉強のできない子」に対しては教員たちが早め早めに介入し居残り授業を行ったり、生徒たちに「二人組」「三人組」を作りグループ学習をさせたりと対策を講じていましたので、いわゆるとんでもない「落ちこぼれ」も存在しませんでした。



このような環境は、快適と言えば快適、ぬるま湯と言えばぬるま湯で、子供の学習環境として良いのかどうかボクには判別できませんが、それなりに楽しかったことだけは確かです。
ただ、本人あるいは家族の希望で朝鮮学校から飛び出し、「日本学校」への進学を希望しだすと、この平穏な環境に波風が立つのです。
(続く)